TATERUの業務停止問題は不動産投資にどんな影響を与える?

大手不動産デベロッパーの一社であるTATERU。2006年の創業からわずか10年足らずで東証一部上場を果たしました。

しかし、そのTATERUが、7月に業務停止一週間という処分を受けました。2017年のスマートデイズ社による女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の問題から、個人向け不動産への融資の問題取り沙汰される中、このTATERUの業務停止問題は、不動産投資業界にどのような影響を与えるでしょうか。

1.TATERUの業務停止問題の理由

まずTATERUが業務停止に至った理由を確認しておきましょう。

TATERUは個人投資家向けに、一棟アパートの土地選びから建設、そして管理や運営などを一手に担っていました。さらにその融資は、西日本にある地方銀行「西京銀行」をメインに、個人投資家に融資を受けさせていたのです。

TATERUは個人投資家向けのアパート建築を一手に担うことで、不動産投資における全てのスキームで利益を獲得し、大きな売上をあげていました。

そのためには継続的な個人投資家の獲得が必要になってきます。高収入・勤務先の安定性があるといった、属性の良い個人投資家であれば、アパートの建築に必要な1億円程度の融資を受けることも可能になります。

しかし、収入が低かったり、信用情報に問題がある、預金がないという個人投資家の場合、なかなかそれだけの金額の融資は受けられません。

そこでTATERUは個人投資家と営業マンが共謀することにより、西京銀行に提出する書類の改竄を行っていました。

例えば年収の金額を大きなものにしたり、現金資産が実際の預金より大きくあるなど、虚偽の書類の提出を行っていたのです。

それで融資を通し、個人投資家に対して数々のアパート物件の建築は斡旋していました。この個人向け融資の金融機関に対する書類内容の改ざんは、TATERUだけではありません。

同じように金融庁からの行政処分を受けた、スルガ銀行およびスマートデイズ社も同様の行為を行っていました。

無理のある融資を行い、その後個人投資家が融資を返済できなくなれば、周辺を巻き込んだ数々の問題が起こる可能性があります。

TATERUでは社内で多くの営業マンがこの問題に関わっていたことが問題視され、国土交通省から業務停止処分を受けました。

2.TATERUの業務停止処分の内容

TATERUが受けた業務停止処分は、期間だけ見れば一週間というものであり、それほど長い期間ではありません。しかしそれに伴いアパート建築の一時停止など、TATERUの主力事業は現在運営できない状況に陥っています。

また最高値では2000円以上あった株価も、2019年7月時点で200円以下に落ち込むなど、何と1/10以下まで株価の下落を見せています。

業務停止処分を受けたということは、営業ができないということだけではなく、不動産会社としての信用度も大幅に下落します。

TATERUの売上高も2018年度は791億円という大きな数字でしたが、2019年度はどれくらいの営業売上高になるのかの、見込みが太刀ません。最悪の場合、赤字になる可能性も高いと見られています。

いずれはTATERUの倒産問題にまで発展する可能性があると言えるでしょう。それほど一週間の業務停止処分が持つ意味は大きなものになっているのです。

3.不動産投資業界に与える影響

このTATERUの業務停止問題ですが、不動産業界の1社に対する問題に終わるものではありません。 これから先の、不動産投資業界全体。特に個人向け不動産投資業界に対して大きな影響を与えると考えられています。

3-1.個人向け融資の緊縮

まず最も大きな影響として考えられるのは、個人向け融資の緊縮です。個人向け不動産投資は日本のマイナス金利政策の導入により、一気に拡大していました。それはでアパートローンと言うと金利4%~5%と高金利であり、空室リスクを考えるとなかなか個人投資家が手を出せるものではなかったのです。

しかし現在アパート建築でも、金融機関の斡旋によっては金利2%未満の融資を受け、新築アパートを購入できるケースもありました。

この低金利政策を背景に、個人向け融資は大きな拡張を見せていたのです。

しかし、スルガ銀行そして西京銀行と、金融機関に対して虚偽の書類で融資を受けようとする不動産会社が相次いだ。また金融機関もその事実を見抜けなかったり、共謀して融資を行っていたという事態で明らかになっています。ついに、西京銀行はついに個人向けアパート投資の融資を今後行わないという表明を行いました。

そのため個人がこれから先、新築アパート購入用の融資を受けようとしても、融資を行ってくれる金融機関を見つけることが困難になると考えられます。

もちろん金融機関は融資を行い、その金利収入を大きな会社の収入源としています。融資を絞るだけでは利益をあげられなくなりますが、それでも書類の改ざんを起こしやすい個人向け融資より、改ざんが起こりにくい法人向け融資がこれから先は活発になっていクことが予測できます。もしくは、個人向け融資の場合貸し倒れが少ない住宅ローン中心になっていくと考えられます。

3-2.格安物件の流通

またTATERUでは、アパート建築の問題が起きた後、自社で保有していた土地を32億円ほどで売却しています。これは会社で土地を所有していても、個人向けアパートの販売を行えないので、土地を所有しているだけでは固定資産税がかかってしまうからです。税金を無駄に支払うよりも、処分した方が良いという結果を受けて、このような対応を行っていたと考えられます。

そのためTATERUの2018年度の決算は黒字化を達成しています。しかし土地を売却したことにより、TATERUは今後新規アパート建築を手がけることが今まで以上に非常に難しくなります。

アパート建築するための用地はどうしても駅からやや離れた場所になるため、これから先値下がりするエリアもあることが想定されます。その意味で考えれば早めの売却を行った事は、ある意味良い結果を生んだとも言えます。

しかし多くのアパート用地が流出したことで、今後格安物件が多く流通していくことも予測されています。

またTATERUでアパートを購入していた個人投資家も、これから先不動産経営が難しくなることを考えると、今の所有物件を早めに処分して、他の投資に資金を投入した方が良いと考えられる流れも起こるかもしれません。

その結果、アパートを中心とした不動産物件は、格安の物件流通が増えていく可能性が出てきます。

これは現金で資金を用意できる個人投資家にとっては非常に有利な状況ですが、反面融資を受けられない、資金力のない個人投資家には美味しい物件があっても、指をくわえて見ているだけの状態になってきます。

またその結果家賃相場の下落が起こる可能性もあります。

まとめ

TATERUの業務停止処分は、不動産投資業界各所に大きな影響を与えています。

個人投資家がこれから先m一棟アパートなど数千万円単位の現金を用意して投資することはなかなか難しくなっていくかもしれません。 そのため、比較的安価で購入できる中古戸建や区分マンションが、個人投資家向けの中心的な商品となっている可能性があります。

それぞれの物件別の相場動向には、ぜひとも注目しておきたいものです。

 

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