賃貸物件のスマートハウス化のメリットを探る

最近注目の住宅設備の一つに、IoT技術などを導入したスマートハウスがあります。IoT技術とは、インターネットによって様々な住居内の設備をつなげ、スマートフォンなどで一括管理できるようにしたシステムを指します。そのため、外部にいながら家電の操作ができたり、一つのリモコンや音声で複数の家電の管理ができたりするなど、様々なメリットがあります。

こういったIoT設備を賃貸物件に導入することで、運営上どのようなメリットがあるのでしょうか。メリットについて触れていきたいと思います。

1.競合物件との差別化につながる

IoT化したスマートハウス型賃貸物件の最大のメリットは、付近の競合物件との差別化ができる点です。

家賃や立地で差別化が難しい場合、設備面で差別化を図って集客力をアップしなければ、なかなか入居者は決まりません。

しかし、エアコンやインターネット回線、BSやCS放送回線などの設備は今や当たり前であり、むしろ差別化ではなく、設備として必要最低限の条件になっています。これらの設備は導入済みであることが当たり前であり、これらの設備投資を行っても集客のうえで大きなメリットにつながらないでしょう。

特に付近に似たような賃貸物件がたくさんある場合、価格だけで差別化するのは難しいです。目立つ設備を導入して、入居者の目を引くことを考えましょう。

築年数がかさみ、競争力が落ちた物件であればなおさらのことです。

価格で差別化を図ると、必然的に家賃を下げざるをえません。その結果、収益性はどんどん悪化してしまいます。価格を下げずに、むしろ家賃を上げることができるスマートハウス化は、安定した賃貸物件の運営のためにも重要なのです。

1-1.防犯面の強化につながる

スマートハウス化の大きなメリットの一つに、防犯面の強化があります。スマートハウス化されたIoT住宅は様々な防犯設備を導入できます。

例えばスマートフォンで部屋に鍵をかけることができるので、外出中に「鍵をかけ忘れたかもしれない!」という不安があっても、外部から鍵をかけることが可能です。鍵を持ち歩く必要はありませんし、たとえ鍵をなくしたとしても、スマートロックがあればかんたんに解錠できます。

また、もう一つ重要なポイントとして、家の中の監視カメラの搭載があります。監視カメラがあれば、外部から部屋の中を見ることが可能になります。スマートフォンアプリなどで室内を監視するカメラと連携してインターネットにつなげば、カメラの映像をスマートフォンに流すことができます。

もし家に帰ってきたときになにかの物音がする場合に、また、何か照明がついていて不審者がいるかも知れない場合に、スマートフォンで部屋の状態を見ることができます。万が一にも不審者がいた場合、そのまま部屋に戻るのではなく、警察や管理会社に通報できます。

特に女性にとって防犯面に優れた物件は、住居選びの大きな要素になってきます。

1-2.新しいものに興味を持つ層にアピールできる

また、IoTが導入されてスマートハウス化した住宅は、新しいものが好きな層、特に若者に対して大きな訴求力を持ちます。世の中には新しい技術が好き、人に自慢できる珍しい物が好きな人は多くいるものです。

例えばスマートスピーカーがあれば、命令するだけで家電を操作したり、テレビをつけたり、音楽を流したりできます。実際にスマートスピーカー自体はそんなに高価な家電ではなく、数千円で購入できます。

たった数千円の設備投資だけで新しいもの好きな人の目を引き、入居が決まるのであれば、抜群に(※良い表現です!)コストパフォーマンスの良い集客方法だと言えるでしょう。

新しいものが好きな若者に対してのアピールという意味でも、スマートハウス化に必要なIoT技術の導入は大きな効果が期待できます。

2.業者から商品を提供してもらえる可能性がある

さらに、スマートハウス化に必要な家電類は、実は業者から提供してもらえる可能性があるのです。

まだ日本では導入されていませんが、アメリカではAmazonが主要都市において不動産仲介事業を進めています。

Amazonは通販サイトのノウハウを活かして大規模な集客サイトを運営し、サイトを通じて部屋探しをしている人や部屋を購入した人を不動産会社に斡旋します。

そして、自分たちが紹介した人が無事に売買契約や賃貸契約を結べば、Amazon経由で部屋探しを申込んだ人に対してスマートスピーカーやお掃除ロボットといったIoT家電を提供しているのです。

仲介に関わる不動産会社がスマート家電を提供するようになれば、賃貸物件の運営側が自腹を切ってスマート家電などの設備を導入する必要がありません。

日本ではまだ、Amazonは不動産事業に進出していません。

ただし、似たような事業を展開する会社にヤマダ電機があります。ヤマダ電機は賃貸不動産の仲介は行っていませんが、リフォーム事業に進出しています。

ヤマダ電機にリフォームやリノベーションを依頼すると、スマートハウス用のスピーカーなどを無料で提供するサービス、いろいろな家電が買えるポイントがもらえるサービスなどが受けられます。

Amazonの場合、スマートスピーカーなどを無料で提供し、そこからAmazonの顧客を拡大する狙いがあります。Amazonを利用していない人が販売する製品に興味を持てば、自社の販売数を増やすことにつながります。

イノベーションの技術を持ったメーカーが不動産業界に進出すれば、賃貸物件のオーナーも無料でスマート家電を手に入れることも考えられるのです。

3.将来的にはスマートハウス化で広告収入が得られる可能性がある

スマートハウス化によって広告収入が得られる可能性があります。

例えば2019年3月から日本に進出しているOYOという会社があります。

OYOはインド生まれのIT企業です。

日本ではソフトバンク系列の会社から250億円を超えるという出資を受けており、今注目されているベンチャキー企業の一つです。

OYOは自社では物件を持たず、不動産物件の賃貸契約を物件を所有するオーナーと交わします。

賃貸契約した部屋にスマート家電などを導入し、マンスリーマンションとして経営を行う事業モデルを展開しています。

スマートハウス化した住宅には、最新の家電やスマートスピーカーなどが導入され、入居者に対して新しいバリューを提供しています。

OYOの事業の一つに、スマートスピーカーや液晶モニターなどを設置して、スピーカーやモニターに企業の広告を流すというビジネスモデルがあるのです。

音声付きの広告や動画を入居者の各部屋に流すことで、OYOには広告収入が入ってくるのです。そして、OYOに入ってきた広告収入は、家賃収入という形で部屋のオーナーに反映される可能性があります。

こういった事業モデルが可能になれば、不動産物件のオーナーは家賃収入を得るだけではなく、副収入として広告から収入を得ることが可能になるのです。

これまでの不動産物件のオーナーの副収入には、太陽光パネルを設置して太陽光の売電収入を得る、屋根などに広告を設置して広告収入を得る、などの方法がありました。

OYOのビジネスが普及すれば、スマート家電を通じて部屋の中に広告を流し、一定の広告料をもらうなどのビジネスモデルが実現する可能性があります。

不動産物件で家賃以外に収益を増やすという意味で、広告配信による収入は新しい事業モデルとしてぜひとも注目したいものです。

 

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