不動産オークションとはどんなサービスなのか

「インターネットオークションで買物なんかしたことはない」

今ではそんな人のほうが少ないのではないのでしょうか。フリマサイトと同じように、インターネットオークションは人々の生活の中に普及しています。

インターネットオークションと言うと衣類や本など、人が使ったために安くなったものやいらなくなったものを売買するケースが多いのですが、実は不動産の売買でもインターネットオークションを利用できます。

そこで、不動産のネットオークションとはどのようなサービスなのか、また、日本でそれほど多く利用されていない理由などについてお伝えします。

1.不動産オークションは基本的には普通のオークションと変わらない仕組み

不動産オークションサイト自体は、基本的には普通のオークションサイトと変わりません。物件に関する詳細な情報がインターネット上に掲載されます。

その物件を気に入った人は、自分が出せる金額の範囲で入札します。

多くの入札者が集まれば、それだけ不動産の価格は上がります。逆に、物件によっては全く落札者が現れず、入札開始価格を下げて再度募集されることもあります。

1-1.入札の情報は公開されないことも多い

インターネットオークションの場合、入札があればリアルタイムで価格が反映されます。

1,000円の値が付いた商品に1,100円で入札した人がいれば、価格は1,100円と表示され、どんどん値段が釣り上がっていきます。

しかし、不動産オークションでは1,000万円で入札が可能な不動産に1,200万円で入札した人がいたとしても、入札者がいるという情報しか公開されないケースが多いです。

1,200万円の入札者や1,250万円の入札者がいる場合でも、落札価格は入札時間が終わるまで分かりません。

この例では1,250万円で入札した人が、オークションが終わってはじめて自分が物件を落札できたことが分かりますし、1,200万円の人は落札できなかった事実だけを知ります。また、入札も一度しか受け付けないケースがほとんどです。

2.日本では大手の不動産オークションサイトがない

海外の不動産オークションサイトは、すでに不動産の流通の1形態として定着しています。

しかし、日本の不動産オークションサイトは、一般的に不動産の流通の1つとして定着しているとは言いがたい状態です。

2-1.最も大きな不動産オークションサイトはヤフーオークション

日本におけるインターネットオークションの最大サイトと言えば、ヤフーオークションです。

過去には楽天など、他の会社もネットオークションサイトを運営していましたが、現在はどこも撤退しました。海外向けのインターネットオークションを除き、ヤフーオークションが取引額の大半を占めています。

その数あるヤフーオークションの中で、実は不動産オークションが単独で運営されています。

まず一つは官公庁オークションです。官公庁が競売などで処分の必要がある物件をヤフーオークションのシステムを利用して売買します。

物件の住所や各種情報もきちんと公開されるので、入札中の不動産価格が妥当であるか否かを判断してから入札できます。

また官公庁だけではなく、不動産会社もヤフーオークションを利用して自社の仲介物件などを売買しています。

スマイルオークションという会社が、ヤフーオークションのシステムを利用して不動産を売買していた実績もあります。

2-2.過去の失敗例

一方で、2006年にマザーズオークションという不動産会社が、不動産オークションサイトを運営していたことがありました。

テレビCMに著名なタレントなどを起用して大々的に宣伝を行っていたのですが、サイトの利用者数は伸びずに数年で終了し、2019年に運営元である不動産会社は倒産しています。

その他にも、いくつかの不動産オークションサイトがありましたが、現在の大規模な不動産オークションサイトはヤフーオークション以外にはないと言っていい状況です。

いくつかの不動産会社では、オークションシステムを利用して自社の顧客の物件を販売しています。

しかし、取扱い物件数は非常に少ないです。

3.不動産オークションが普及しない理由

では、なぜ日本では不動産オークションサイトが普及しないのでしょうか。その理由をいくつか考えてみました。

3-1.情報を把握しにくい

ヤフーの不動産物件オークションを見てみると、価格がリアルタイムに表示されません。そのため、実際にはどれくらいの値段であれば落札できるのか、相場が把握しにくくなっています。

不動産価格は、ある程度であれば公示地価や路線価などの情報で推測できますが、それでも基本的には千差万別です。

特に不動産オークションで販売される物件は地方のリゾートマンションや郊外の大規模な住宅用地など、ある意味でクセの強い物件が多いです。

都内の区分マンションなどの価格がつきやすい物件は、オークションを利用せずともかんたんに売買できることが多いので、オークションはほとんど利用されません。

つまりオークションで売買される物件は、基本的には「売れにくい」物件なのです。

それだけに入札側はリスクが高く、また、知りたい物件情報もすぐに問合わせることができないので、避けられがちなのです。

3-2.ネットに対する不信感

インターネットに対する抵抗が不動産業界にあること、これも要因の一つです。

不動産販売の現場でも、最近は徐々にIT化が進み、重要事項説明をネット経由で行えるようになりました。

それでも、「物件の詳細を不動産会社の人間や売主に聞かない限りは信用できない。物件も自分の目で確認したい。重要事項説明も対面で行わないといけない」と考える人が多く、それだけになかなかインターネットを介した不動産売買が進まないのです。多額の資金をネットで振込むことに抵抗を感じる人もいます。

3-3.不動産仲介業者に好まれていない

また不動産オークションが、不動産仲介業者にあまり好まれていないことは事実です。

結論から言ってしまえば、多少は物件が高く売れても、安く叩かれても、不動産仲介業者の売上にほとんど変化はありません。

3,000万円で売れたとしても、3,300万円で売れたとしても、不動産仲介会社の懐に入るお金が10万円程度変わるだけです。

インターネットオークションを利用して売却価格が上がれば、喜ぶのは売主だけです。売主にはメリットがありますが、売買の仲介時に不動産仲介会社は、不動産オークション用に書類などを別途用意してインターネットにアップしなければいけないなど、余計な手間がかかります。そのため、不動産会社は積極的にオークションを利用しないのです。

また、もう一つ大きな理由として、最近では競売がネットを介して人気になっていることが挙げられます。競売は物件数が多く、入札システムは不動産オークションと似ています。

競売の仲介サイトには過去のデータを収集してAIに分析させすることで競売物件の入札価格を予測するシステムを提供するサイトもあるほどです。

不動産オークションサイトのシステムを利用せずとも、競売で十分というユーザーも多いのです。

日本の不動産オークションサイトが、海外のように一般的になるまでにはまだ時間がかかるかもしれません。

一方で、空き家物件に関しては、不動産オークションサイトが徐々に現れつつあります。日本各地に点在する空家がインターネットで積極的に流通するようになれば、インターネットを介して不動産を購入する流れが加速するかもしれません。

 

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