本当にオリンピックは不動産価格に影響するのか

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今、日本は東京都心などの一部でバブルが起きていると言われています。東京の銀座の公示地価はバブル期についた最高値を上回り、東京オリンピックを目前にして不動産バブルの再来だという声も聞かれるほどです。

また、観光客も年々増加しており、オリンピックが不動産業界に影響していると言われています

それだけに、2020年の東京オリンピックが終わってしまえば、一気に不動産バブルが崩壊して地価が下落するのではないかと恐れる人もいるのです。

本当にそのような現象は起こり得るのでしょうか。様々な視点から分析してみました。

1.賃貸住宅用不動産はオリンピックの影響を受けない

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まず、多くの不動産投資家が投資している物件はテナントビルなどではなく、マンションやアパートなどの住宅用の賃貸不動産でしょう。

そのような不動産は、東京オリンピックの影響を受けることはほぼないと考えられます。

その理由を説明します。

1-1.住宅の需要は東京を中心に高い

マンションやアパートなどのあくまでも住宅用の不動産は、もともと東京オリンピックとは関係なく需要があります。

東京の人口が1,400万人を突破することは時間の問題であり、国土交通省が想定したペースよりも速いものとなっています。

決して東京の出生率が上がっているわけではありませんが、周辺の自治体から東京への流入が何年も続いているため、このような現象が起きているのです。

これは何を意味するのかと言うと、東京の賃貸住宅に対する今後の需要は、まだまだ十分にあるということです。

さらに、ワンルームマンションの建設は東京23区内では制限を設ける自治体も多く、供給されるワンルームマンションの価値が一気に上がることはありません。

晩婚化や非婚化により、単身者世帯向けの物件の需要が増加しています。

それらの理由で、一般のアパートやマンションへの需要は東京オリンピックとは関係なく、これから先も伸びるでしょう。

1-2.家賃は景気の影響を受けにくい

賃貸物件の需要と同時に気にするべきなのが、家賃です。仮に入居率を維持できたとしても、家賃の相場が1/2などに下がってしまえば、当然ながら収入も下がります。

しかし、賃貸住宅の家賃は、景気の影響をほぼ受けません。

それはなぜでしょうか。

住まいは、人が生活する上で絶対に必要なものだからです。

景気が悪化したからといって、人が部屋を借りなくなる原因にはなりません。部屋を借りなければ、生活ができないからです。

1990年前後のバブル崩壊期は、確かに土地の値段は大幅に下落しました。

しかし、家賃相場が下がったなどの話は耳にしたことがありません。

つまり、賃貸用住宅の入居率はこれから先も下がることはありませんし、家賃の相場も急激に下降することはありません。物価と連動するので、基本的には上がります。

もちろん、それぞれの部屋だけで見れば、経年により家賃が下がることはありますが、新築物件の平均的な家賃の額で見れば、上がるでしょう。

2.オリンピックだけではなく国際情勢の影響もある

オリンピックよりも大きな影響を与えかねないのが国際情勢です。

まさに現在、中国武漢を感染源とする新型肺炎の伝染が、全世界で懸念されています。

中国からの観光客が大幅に減少した結果、百貨店や宿泊施設は大幅な減収を見込んでいます。

また、日本と韓国の国際的な関係が悪化したことにより、2019年は福岡の観光客数が減少したというデータもあります。

観光客自体の需要が高いだけに、国際的な問題で訪日する人間が減れば、その影響は大きなものになります。

観光地への需要が下がる、もしくは、バブルがはじけるといった問題ではなく、国と国との関係によって観光客数が大幅に変動する可能性があるのです。

そして、住宅と違って、観光は必ずしも生活に必要なものではありません。

収入が減ったとき、まず、削るべきはレジャーなどの娯楽費です。

日本の外国人観光客の増加に大きく寄与したのが中国であることは、間違いありません。

今後、中国からの観光客がどのように変化していくかが、日本の観光地を中心とした不動産市場に大きな影響を与えることも考えてみましょう。

2-1.羽田空港増設など長期的な視野で見れば観光客は減らない

一方で、観光客自体の訪日意欲はそれほど大きな変化を見せないと思われます。根拠として、例えば羽田空港では、国際線の路線を増設するために滑走路を新たに設けます。

成田空港よりも都心に近く、東京へのアクセスが良い羽田空港の需要が高まっているのです。

空港の滑走路が増えれば、必然的に航空便の数と観光客の増加が予想され、好サイクルが生まれます。

現在の開発計画から見て、日本の観光客数が大幅な落ち込みを見せることはないものと考えられそうです。

3.不動産投資に影響を与えているのは金融機関

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それでも、日本の不動産業界の景気は今、下落している部分があるのも事実です。

現在、どのような問題が日本の不動産投資業界に影響を及ぼしているのでしょうか。

3-1.金融機関の個人投資家への融資は減少傾向

日本の不動産投資業界に最も大きな影響を与えているのは、金融機関の個人投資家への融資の引き締めです。

これは女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に対するスルガ銀行の融資問題から端を発した現象となっています。個人投資家に購入資金を融資する時に書類を改ざんし、無理に投資を行なわせていたことが問題となりました。

その結果、各金融機関に対し、金融庁は個人投資家への無理な融資を抑制するように通達しました。

その後はスルガ銀行だけではなく、西武信用金庫や西京銀行でも似たような融資が行われたことを受け、多くの金融機関で個人投資家への融資が抑制されつつあります。

それだけに、個人投資家がなかなか不動産を購入できなくなっています。個人投資家向けの不動産市場の景気が下落しているのです。

3-2.一棟物件の価格は下落傾向

金融機関の融資が引き締められるようになった結果、一棟物件の価格が下落しているとの報告もあります。

都内でマンションやアパートを購入する場合、5,000万円から1億円といった価格が当たり前です。

そうなると、なかなかキャッシュだけで買える個人投資家はおらず、金融機関から多額の資金の融資を受けることが前提となってきます。

しかし、金融機関は融資の引き締めを行っていますから、個人投資家に融資する時はなかなか首を縦に振りません。その結果、価格の安い区分マンションはともかく、価格の高い一棟物件はなかなか買える人がいません。徐々に価格が安くなっているのです。

融資を受けなくては不動産を購入できない人にとってはマイナスですが、キャッシュで不動産を買える人にとってはある意味追い風が吹いています。

3-3.区分マンションはまだまだ手堅い

ここまで挙げてきた要素を見ていくと、最も手堅い投資対象はやはり、区分マンションです。

単身者世帯が増加し、東京は人口自体も増加しています。そのため、単身者向けマンションの需要は高いものがありますし、家賃の下落もまず起こりません。

また、区分マンションであれば1,000万円台で購入できるものがあります。不動産投資家が現金で購入できる範囲の価格帯です。

手堅い投資先を考えているのであれば、区分マンション投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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